終了
Seongu Kang Solo Exhibition: The Heavy Precipitation
2010年2月6日 – 2010年2月18日 · SOOHOH GALLERY

沈殿 / 液体の中に存在する固体粒子が底に積もる現象。
存在の内部にある何かが飽和状態に達すると、溶解度を超えたものは重く沈んでいく。
ある日、硬くなり重くなっていく存在の一面に出会う。漂う多くのものの中で、水面の下に深く沈み石化していくものにふと向き合うことは、避けたいことである場合が多い。それは何か鋭く自らを引っかく憂鬱であったり、人間の本質的な欠乏や傷であることが多いからだ。しかし同時に、それを繰り返し覗き込んでしまうのは、内部の沈殿物こそが存在をその存在たらしめる決定的な役割を果たしているからでもある。
一方、この「重さ」に纏わされた糸は、実に軽やかで柔軟である。
細い糸筋は、積もり石化していくものに、時には繰り返し巻きつける修行的な行為のように、時には遊戯的な行為のように関わりながら、セメントの塊のように沈んだ重さに軽さや超越といった価値を纏わせていく。傷と欠乏を縫い合わせる癒しの行為のようにも見える。
また、細い糸筋は物たちの上に纏わされ、既存の記号表現と記号内容の間に薄い膜を形成する。存在意義と機能が固定されていた物たちは色を纏い、現実の空気から遮断され、修行的あるいは遊戯的行為の結果物として提示されることで、軽くなり柔軟な意味を獲得する。今やそれらは、ある時間、瞬間の感情、共に過ごした人、空気の匂いなどとして読まれ、記憶されるのである。
一連の制作過程は、本質の水面と深いところを探り、底に凝り固まったものを指先でこねながらより柔軟なものへと転換していく、極めて個人的でありながら個人的なだけではない遊戯のようなものではないだろうか。
— 作家ノートより